ショウジョウバエ
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キイロショウジョウバエ

キイロショウジョウバエ成虫のオス(左)とメス(右)
分類
界: 動物界 Animalia
門: 節足動物門 Arthropoda
綱: 昆虫綱 Insecta
目: 双翅目 Diptera
科: ショウジョウバエ科 Drosophilidae
属: ショウジョウバエ属 Drosophila
種: キイロショウジョウバエ D. melanogaster

学名
Drosophila melanogaster
英名
Fruit fly
ウィキメディア・コモンズに、ショウジョウバエに関連するマルチメディアがあります。ウィキスピーシーズにD. melanogasterに関する情報があります。ショウジョウバエはショウジョウバエ科ショウジョウバエ属に属するハエの総称である。赤い目を持つことや酒に好んで集まることから、顔の赤い酒飲みの妖怪「猩々」にちなんで名付けられた。日本では俗にコバエ(小蝿)やスバエ(酢蝿)などとも呼ばれる。学名の Drosophila は「湿気・露を好む」というギリシャ語 δροσος (drosos) + φιλα (phila) にちなむ。これはドイツ語での通称が露バエを意味するTaufliegenであることによる。英語では俗に fruit fly(果実蝿)、 vinegar fly(酢蝿)、 wine fly(ワイン蝿)などと呼ばれる。

多くの種は体長3mm前後と小さく、自然界では熟した果物類や樹液およびそこに生育する天然の酵母を食料とする。酵母は果実や樹液を代謝しアルコール発酵を行うため、ショウジョウバエは酒や酢に誘引されると考えられる。アフリカ中央部に起源を持ち、現在では世界各地の暖かい地域で見られる。寒い地域でも夏場だけ移動してきたり、暖かい場所で冬を越したりする。冬眠することはない。日本では野外や人家で普通に見られる。糞便や腐敗動物質といったタイプの汚物には接触しないため、病原菌の媒体になることはない。

現在、ショウジョウバエ科には3千を超える種が記載されている。ショウジョウバエ属は17亜属に分類され、日本には7亜属が生息する。生物学で単にショウジョウバエという場合は、最も広く用いられている種であるキイロショウジョウバエ D. melanogaster を指すことが多い。以降、この記事でもショウジョウバエという言葉を単独で用いた場合はキイロショウジョウバエを意味する。

(余談だが、和名にはキイロとつくが、学名では「黒い腹」という意味の melanogaster となっている。これは体色は黄色がかっているが腹部の末端が黒いためだろう。)

目次 [非表示]
1 モデル生物としての生物学的特性
1.1 研究室での飼育
1.2 発生の概略
1.3 染色体・ゲノム
1.4 行動・神経・脳
2 ショウジョウバエ研究史
2.1 古典遺伝学の時代
2.2 ホメオボックスの発見
2.3 ゲノムプロジェクト以降
3 ショウジョウバエの遺伝子名
4 ショウジョウバエ属の分類
5 もっと詳しく知りたい人に



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モデル生物としての生物学的特性
キイロショウジョウバエのモデル生物としての利点は以下のことが挙げられる。

飼育の容易さ: 小さい体、短い生活環、多産、特殊なエサは不要。
遺伝的特性: 小さいゲノムサイズ。染色体が少ない(四対)。遺伝子の重複が少ない。
遺伝学的知見・技術の蓄積。
細胞学的、発生学的記載の蓄積。
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研究室での飼育

ショウジョウバエの培養試験管ショウジョウバエの世代間隔は10日(25℃)。寿命は2か月。一匹のメスは、1日に50個前後の卵を産むことができる。体長2〜3 mm。研究室では、成虫・幼虫ともに乾燥酵母、コーンミール、蔗糖などを寒天で固めたエサで飼育される(写真)。

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発生の概略
ショウジョウバエは胚期、幼虫期、蛹期、成虫期の4つの発生段階をもつ完全変態昆虫である。幼虫期には2回脱皮を行い、それぞれ一齢幼虫、二齢幼虫、三齢幼虫と呼ばれる。25℃で飼育すると、胚期: 一日、一齢幼虫期: 一日、二齢幼虫期: 一日、三齢幼虫期: 二日、蛹期: 五日を経て成虫になる。

卵には細胞核や栄養だけでなく、様々な遺伝子産物が母親から供給されている。これらの遺伝子産物には卵の中で片寄って存在しているものがあり、この偏りが胚内での位置情報となり、体軸や生殖細胞の形成などに重要な役割をもつ。受精核は分裂して細胞表層に移行し、表割を行う。極初期に決定された位置情報を元にシグナル伝達などを介した形態形成が速やかに進行する。幼虫期の脱皮・変態は幼若ホルモンやエクジソンによって制御されている。幼虫の体内には将来成虫の体を形成する成虫原基という組織がある。成虫原基は三齢幼虫後期に増殖・分化し始め、蛹の間に成虫の体を形作る。

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染色体・ゲノム
四対の染色体があり、性染色体を第一染色体として、常染色体を第二、第三、第四染色体と呼ぶ。性染色体はヒトと同じ XY 型だが性決定機構は異なる。Y 染色体と第四染色体は非常に短いため、しばしば無視される。幼虫の唾液腺の染色体は核分裂を伴わずにDNA複製を繰り返し、多糸化するため非常に巨大になる。この唾液腺染色体に見られるバンドパターンは詳細に記載され、組み換え価との比較から細胞学的遺伝子地図が作成された。ゲノムサイズは1.65x108塩基対、おおよそ14,000の遺伝子があると推測されている。2000年には(ほぼ)すべてのゲノム塩基配列が解読された。多細胞生物としては線虫に次いで二番目(ゲノムプロジェクト)。

ヒトの病気の原因として知られている遺伝子の61%がショウジョウバエにもあり、遺伝的にはヒトとショウジョウバエは非常に似ているということができる。パーキンソン病やハンチントン病などのヒト疾患の病理メカニズムを解明するためのモデルとしても注目されている。

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行動・神経・脳
成虫は正の走光性と負の走地性をもつ。さらに分子解剖学的に脳の神経回路を全て記述する試みがなされている。交尾はショウジョウバエで最も詳しく観察された行動であり、性決定などに関する研究がある。夜(暗期)には哺乳類の睡眠に類似した行動を示す。これはサーカディアンリズム(概日周期)を刻み、この周期が変化する変異体も得られている。

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ショウジョウバエ研究史
ショウジョウバエ研究は一世紀にわたる歴史を持つ。初期は遺伝学の材料として、現在では主に発生生物学のモデル生物として用いられている。動物の発生における多くの知見は、ショウジョウバエ研究で最初に明らかにされてきた。

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古典遺伝学の時代
ショウジョウバエが生物学の材料として登場するのは、1901年、当時ハーバード大学にいたC.W.ウッドワースが大量飼育し、W.E. キャッスルに遺伝学の材料として薦めたのが最初と言われる。遺伝学の研究材料として有名にしたのはT.H. モーガンとその一派(C.B. ブリッジス、A.H. スターティヴァント、H.J. マラーら)。彼等は1908年からショウジョウバエを用いはじめ、1910年には最初の突然変異体、white(白眼)を発見した。さらに、変異体と異常染色体の関連を観察し、遺伝子が染色体上に存在することを証明し、染色体説を実証した。この業績によりモーガンは1933年にノーベル生理学・医学賞を受賞。

遺伝学研究では突然変異体を用いるのが常法だが、自然状態で突然変異が起こる確率は非常に低く、発見が困難だった。この問題はH.J.マラーの研究によって解消される。マラーは、ショウジョウバエにX線を照射すると、表現型に遺伝的な影響を及ぼすことを発見し、これがX線による遺伝子変異であることを明らかにした(1927年)。この業績により彼は1946年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。以降、多数の突然変異体系統や異常染色体系統が樹立された。

このようにして古典遺伝学は隆盛を見る。しかしここまでの遺伝学では表現型の観察は主に成虫を用いており、発生に関する知見は乏しかった。

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ホメオボックスの発見
動物発生学では主に胚を研究材料としていた。観察や実験操作の容易さから大きな卵を持つカエルやウニが用いられることが多く、ショウジョウバエの胚は小さく、不透明な卵殻を持っているため発生学には向かないとされていた。また昆虫の発生はヒトとは全く異なるため、研究する意義が低いと考えられていた。しかし顕微鏡や観察技術、分子生物学の発展にともないホメオボックスが発見されるに至ると、ショウジョウバエで培われた遺伝学は発生学と融合することになる。

ホメオボックスはホメオティック変異の研究から発見された。ホメオティック変異 (homeotic mutation) とはある組織や器官が別の組織や器官になるという変異である。ショウジョウバエで初めてのホメオティック変異 bx (bithorax) はモーガン研究室のブリッジスによって1915年に発見されていた。bx 変異体の組み合わせによっては胸部第三節が第二節に変化し、四対の翅をもつようになる。モーガンの孫弟子にあたる E.B. ルイスは多数の bx 変異を作成し、この変異表現型が BX 遺伝子群によって引き起こされるという説を発表した(1978年)。

この間に遺伝子発現の定義が分子生物学によってなされ、ショウジョウバエでも遺伝子クローニングや遺伝子導入といった分子生物学的手法が導入された。また小さな胚を扱うための顕微鏡や観察技術も発展した。さらに幸運なことに1976年にはP因子と呼ばれるトランスポゾンが発見され、1982年頃からはそれまで細菌や酵母でしか行えなかった遺伝子導入が比較的容易に行えるようになった。以降P因子を用いた様々な技術が開発されている。

分子生物学的手法を用いて、1983年から84年にかけて、W.J. ゲーリングらと T. カウフマンらによってホメオティック変異の原因遺伝子が独立にクローニングされた。塩基配列を決定したところホメオティック遺伝子には 180 bp (60 aa) の共通した配列があり、ホメオボックスと名付けられた。驚くことに、ホメオボックスを持つ遺伝子はショウジョウバエだけでなく、ヒトから線虫、植物、酵母など真核生物に広く存在していることが明らかになった。生物は発生のような複雑な現象においても、基本的には共通の系を使っていたのである。このことは線虫を始め、他のモデル生物研究を加速させた。

1980年代、C. ニュスライン-フォルハルトとE.F. ウィーシャウスは大量の突然変異系統を樹立し、ショウジョウバエ胚の体節形成に注目した表現型の観察を行った。彼等は胚におけるタンパク質の濃度勾配が体節形成に重要であることを明らかにし、この研究でホメオティック遺伝子の発現機構が解明された。

このように発生を遺伝子の言葉で説明することができるようになり、発生学と遺伝学は統合された。このことは1995年に「初期胚発生の遺伝的制御に関する発見」により E.B. ルイス、ニュスライン-フォルハルト、ウィーシャウスらがノーベル生理学・医学賞を受賞していることに象徴的される。発生学の分野では1935年のハンス・シュペーマンの受賞から60年後のことである。

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ゲノムプロジェクト以降
ゲノムプロジェクトによるゲノム解読終了は、分子生物学的研究をさらに発展させることになる。また比較ゲノム学的な観点から、進化の研究も行いやすくなった。キイロショウジョウバエのいくつかの近縁種でもゲノムプロジェクトが進行中である。

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ショウジョウバエの遺伝子名
遺伝子の命名法は生物種によって多少異なる。ここではショウジョウバエについて紹介する。

突然変異の解析から同定された遺伝子は、最初に得られた変異体の表現型にちなんだ命名をされる。この場合、遺伝子はその機能と逆の名前がつけられる。遺伝子名は斜体で表記し、劣性変異は小文字で、優性変異は大文字で始める。近年は、ほ乳類などで解析が進んでいたものをショウジョウバエでも逆遺伝学的に研究する例も増え、その場合はしばしば D. melanogaster の省略である d や D、Dm を遺伝子名の前につける。通常、遺伝子名は遺伝子記号と呼ばれる略称で表記される。初期に発見された遺伝子は一文字や二文字(例えば white は w)だったが、近年では三文字以上を用いる。

例)遺伝子名(遺伝子記号)- 備考

white (w) - 白眼変異体の原因遺伝子。劣性変異。
Antennapedia (Antp) - 触角 (Antena) が脚 (pedia) になる優性のホメオティック変異の原因遺伝子。
Dmp53 - ほ乳類の癌抑制遺伝子 p53 のショウジョウバエ相同遺伝子。
ショウジョウバエ研究者はウィットを利かせた(ときとしてダジャレのような)遺伝子名を付ける伝統を持つ。例えば musashi(毛が二本になる→二刀流の宮本武蔵)、 satori(オスが交尾をしない→悟りの境地)、 hamlet(神経になるべきかならざるべきか→シェークスピアの戯曲「ハムレット」)など。他生物種の研究者の中にはこのような習慣に否定的な意見をもつ人もおり、Nature 誌で議論がなされたことがあったが、ショウジョウバエ研究者は概ねこの伝統を誇りにしているようである。

農芸化学
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農芸化学(のうげいかがく、agricultural chemistry)は農学の一分野であり、本来、化学を応用して農業に関する諸問題について研究する学問である。伝統的には、土壌や肥料に関する研究(土壌学、植物栄養学)、農薬に関する研究(農薬化学)、発酵や醸造に関する研究(発酵学、醸造学)などが農芸化学者によって行われてきた。現在の日本では、かつての農芸化学者の研究対象は、農芸化学という学問を明確に定義できないほどにバイオテクノロジーの全領域にわたって拡散しており、農芸化学という言葉はあまり用いられなくなっている。

農芸化学には、固有の方法論があるわけではなく、生物学、化学あるいは化学工学の方法論が援用されてきた。農芸化学は応用生物学、応用生化学、分析化学、化学工学の一部であるとさえ言える。農芸化学が農学の一分野と見なされてきた理由として、農芸化学科が農学部に設置されていたこと以外を挙げることは困難である。農芸化学はこのような特徴を有するため、1990年代に各大学の農学部農芸化学科が生命科学科、生命工学科などに衣替えするにつれて、農芸化学という言葉はあまり用いられなくなった。
共有結合
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共有結合(きょうゆうけつごう、Covalent bond、等極結合[Homopolar bond]とも言う)は、原子同士で互いの電子を共有することによって生じる結合。結合は非常に強い。分子は共有結合によって形成される(単原子分子は除く)。また、共有結合によって形成される結晶が共有結合結晶である。配位結合も共有結合の一種である。

この結合は非金属元素間で生じる。ただし配位結合の場合は例外もある。

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共有結合のプロセス
共有結合は、価電子が原子軌道から分子軌道へと遷移することで形成される。分子軌道はその由来する原子軌道のエネルギー準位や電子密度分布の異方性に応じて、分子軌道も異なるエネルギー準位と空間分布を示す。共有結合の強度や原子間距離は生成した分子軌道に所属する電子の分布と原子核との電磁気力により発生し決定付けられる。

例えば、2つの原子軌道からは一般に結合性軌道と反結合性軌道が生成する。反結合性軌道は軌道軸の中心付近に波動関数の節が存在する。波動関数の節が多いほどエネルギー準位は高く、また節付近では電子の存在確率が低い領域が形成される。最もどエネルギー準位の低い結合性軌道ほど、原子軌道から電子が遷移して安定化しやすく、また二つの原子核の間の電子密度が高い領域が形成されるのでその領域に対して原子核はひきつけられることと核の正電荷を電子の負電荷が遮蔽するので原子核同士の反発は低減される。その結果、分子軌道に参加しない他の軌道に属する電子(原子軌道や反結合性軌道上の電子)間の反発力と分子軌道の電子による吸引力の釣り合いにより共有結合は安定な結合を形成する。

逆に結合性軌道に対して、反結合性軌道に存在する電子の空間分布は原子核間を結びつける働きに寄与しないため、「反結合性」という名称の由来となっている。

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結合の多重度とσ結合・π結合
共有結合においても結合の多重度に応じて単結合と多重結合(二重結合と三重結合)とが存在する(結合の多重度については、記事 化学結合に詳しい)。

実際には単結合はσ結合のみで形成されるのに対して、多重結合は1つのσ結合と1つないしは2つのπ結合で構成される。それ故、単結合と多重結合とでは反応性や分子構造の物理化学的性質が異なる。 例えば、一般に、π結合はσ結合より結合エンタルピーがやや低い。また、σ結合は結合軸に対して電子軌道が回転対称を持たない為、立体配座が結合軸で自由回転する。一方、π結合は回転対称を持つ為、結合軸で自由回転することが出来ず、立体配座は固定的である。

【関連用語】 金属結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、水素結合
反応熱
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反応熱(はんのうねつ、heat of reaction)とは化学反応に伴い、発生もしくは吸収される熱である(場合によっては核反応も含まれるが本稿では言及しない)。すなわち、物質を構成する化学結合は固有のエネルギーを持っており、その物質内の結合が切断される場合は分子(あるいは原子)の内部エネルギーが増大し、結合する場合は減少する。

熱力学が示すように原子あるいは分子の結びつきの構成が変化する時の内部エネルギー変化は通常は反応系外との熱の授受で現れる。それゆえ、反応熱とは化学反応の内部エネルギー変化を観測する指標となる。内部エネルギー変化が大きいほど結合力は強く安定であり、結びつきが切断される場合は系外へ熱が放出され、結びつきが形成されると系内に熱が流入する。通常の化学反応では反応系内では結合の切断と生成と両方が進行するので、両者の熱的収支の結果が系外から観測されることになる。

相転移にともなう転移熱(蒸発熱、凝縮熱、昇華熱、凝固熱、溶解熱)は化学反応に伴って発生しても反応熱とは別の要因であるが、反応熱の測定方法によっては測定値の中に転移熱が寄与する分も含まれている場合もある。

測定される反応熱には反応の種類あるは過程により分類され、生成熱、燃焼熱、中和熱、溶解熱、希釈熱,混合熱,吸着熱などとも呼ばれる。

反応熱は熱力学的な状態量を考慮すると、定圧反応の場合と定積反応の場合では厳密には異なり、前者を定圧反応熱、後者を定容反応熱と呼ぶ。特に断らない限りは反応熱は前者の定圧反応熱が利用される(燃焼反応等では定容反応熱が測定しやすい)。熱力学では定積過程では内部エネルギーが定圧過程ではエンタルピーが使用される為、定圧反応熱はエンタルピーで、定容反応熱は内部エネルギーで表示される。

定圧反応の場合、反応物から生成物へ変化する過程のエンタルピー収支が負の値をとるとき反応系外に熱が放出され、正の値をとるとき熱を系外から吸収する。したがっで、前者(エンタルピーが負)の場合発熱反応(はつねつはんのう、exothermic reaction)となり、後者(エンタルピーが正)の場合、吸熱反応(きゅうねつ反応、endothermic reaction)となる。

最も一般的な発熱反応は燃焼であり、水素ガス (H2) の燃焼による水 (H2O) の生成は激しい反応過程である。ほかにもおだやかな反応を行うものは、鉄粉 (Fe) の酸化などがあり、これは使い捨てカイロに使われている。

熱力学第一法則の示す通り、過程の違い(激しい酸化・穏やかな酸化)と熱量とは関係がなく反応に固有である。

化学反応は自由エネルギーが減少する方向に自発的に進行する。自由エネルギー G とエンタルピー H は、温度を T、エントロピーを S とすると

−ΔG = −ΔH + TΔS
の関係にあるので、定温定圧の場合は

エンタルピーの減少が大きく
エントロピーの増加が大きい
ほど反応は進行することを意味する。発熱反応の場合エンタルピー収支が負の為、反応は自発的に進行する。一方、吸熱反応の場合はエントロピーの増加がエンタルピー減少を上回らないと自発的に進行しない。もちろん、自発的に進行しない反応も、生成物を除去したりル・シャトリエの原理など圧力等の状態量を変えて化学平衡を偏らせることによって進行させることは可能である。

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熱化学方程式
ヘスの法則が示すように、化学反応で発生する反応熱は熱力学第一法則に従うので、化学反応を構成する各段階が発熱過程であれ吸熱過程であれ、最終的な化学反応の熱収支は各段階の熱収支を代数的に積算することで求められる。また、熱力学第一法則は過程の経路の違いに関係することなく出発状態と最終状態のみで熱収支が決定されることを保障する。このことは、実際の反応経路とは異なる化学反応の反応熱を代数的に組み合わせても、反応の反応物(出発状態)と生成物(最終状態)が物質量的に合致していればそれらの反応熱の代数和は、目的の反応の反応熱と一致することを意味する。

この目的で、反応式と生成熱とを組み合わせた化学反応式を熱化学方程式とよぷ。熱化学方程式の表記法としては生成熱を反応式の右辺に + 記号で結合させる方法、

N2 (g) + 3H2 (g) = 2NH3 (g) + 91.80 kJ
個々の反応式にモルエンタルピーを併記する方法がある。

N2 (g) + 3H2 (g) → 2NH3 (g) ; ΔH = −45.9 kJ/mol
熱化学方程式(ヘスの法則)を使用すれば反応熱が既知の化学反応を代数的に組み合わせることで反応熱が未知の反応についても、反応熱の値を求めることができる。熱化学方程式の場合、反応物あるいは生成物の相が気相 (g), 液相 (l), 固相 (s) のいずれであるかによって反応熱の値の中で転移熱に相当する分が変わってくる。したがって、熱化学方程式では符号 (g), (l), (s) を使用して反応物や生成物の状態を明示する必要がある。ただし全反応が溶液中で進行することが明らかな場合は符号が省略される場合もある。
地球
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地球
拡大図
軌道の諸量
軌道長半径 149,597,870 km
近日点距離 0.983 AU
遠日点距離 1.017 AU
軌道離心率 0.01671022
公転周期 365.25636 日
平均軌道速度 29.7859 km/s
軌道傾斜角 0.00005°
衛星の数 1 (月)
物理的性質
赤道直径 12,756.3 km
表面積 5.10072×108 km2
質量 5.9742×1024 kg
平均密度 5.515 g/cm3
重力加速度(赤道上) 9.78 m/s2
脱出速度 11.18 km/s
自転周期 23.9345 時間
自転軸傾斜角 23.45°
アルベド 37-39%
表面温度 min mean max
184 K 282 K 333 K

大気の諸量
平均気温 15℃(-70℃〜+55℃)
大気圧 101.325 kPa
窒素 78%(体積比)
酸素 21%(体積比)
アルゴン 1%(体積比)
二酸化炭素

水蒸気
微量

地球(ちきゅう、Earth)は、太陽系の惑星のうち、太陽に3番目に近いものである。太陽系の中では「地球型惑星」に分類され、その中で大きさ、質量ともに最大のものである。放射性元素による隕石の年代測定により、誕生してから約46億年経過していると推定される。太陽系の年齢もまた隕石の年代測定に依拠するので、地球は太陽系の誕生とほぼ同時に形成されたとしてよい。

組成は地表面からの深さによって異なる。地表付近は酸素とケイ素が主体で、他に鉄・アルミニウム・ナトリウム・カルシウム・カリウム・マグネシウムなどの金属元素が含まれる。ほとんどは酸化物の形で存在する。対照的に、中心部分は鉄やニッケルが主体である。地表面の70%は液体の水(海)で被われており、地表から上空約100kmまでの範囲には窒素・酸素を主成分とする大気がある。大気の組成は高度によって変化する。

ちなみに地球の北極点から、赤道までの最短距離を一万キロメートルとしたため、地球の円周距離は約4万キロメートルになる。(地球は自転などの影響により楕円形をしているために、4万キロメートルというのは若干の誤差がある。)

目次 [非表示]
1 地球の運動
2 物理的性質
2.1 大きさ、質量、密度
2.2 構造
2.3 核
2.4 マントル
2.5 地殻
3 生命
4 衛星
5 地理
6 関連用語
7 関連項目



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地球の運動
太陽の周りを円に近い楕円形の軌道を描いて1.0000太陽年に1回公転し、また0.9973平均太陽日に1回自転している。

1太陽年とは太陽が春分点から春分点まで一巡りする時間、すなわち季節が一巡する時間をいい、365.2422日である。1平均太陽日とは、天の赤道上を等速運動するとした仮想太陽(平均太陽)が、南中してから次に南中するまでの時間をいう。地球の歳差により春分点が移動するため、1太陽年は、恒星が動かないものとして見た時に地球が太陽の周りを一周する時間として定義される1年(恒星年)より短い。1恒星年は365.2564日である。春分点が南中してから次に南中するまでの時間を1恒星日というが、ここで用いた1日は1平均太陽日でも1恒星日でも大差ない。

地球の赤道面は、黄道面に対して23度26分傾いている。この傾きは自転軸の傾きでもある。季節変化の主な要因として軌道離心率と自転軸の傾きが考えられるが、地球の場合、自転軸の傾きが効いている。軌道離心率が0.0167ということは、太陽に最も接近したとき(近日点通過)と太陽から最も遠ざかったとき(遠日点通過)で、太陽約3個分距離が違うことを意味している(0.01天文単位が太陽直径程度である)。光量に直すと約7%の変動ということになるが、これよりも自転軸の傾斜を原因とする太陽高度の変化(光が差し込む角度)と日照時間が効くのである。太陽に最も接近するのは1月2日前後、最も離れるのは7月2日前後である。

天の北極から見て、自転、公転ともに反時計回りである。

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物理的性質
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大きさ、質量、密度
地球は赤道半径が6378kmのほぼ球形である。実際には赤道半径が極半径より約21km大きい。地球の質量は5.974×1024kgである。大きさと質量から平均密度が求まり、5515kg/m3(5.515g/cm3)である。これは水の5.5倍、花崗岩の2倍、鉄の0.7倍程度に相当する。地球は太陽系で最も密度の高い惑星である。水星と金星の密度は地球に近い。

地球を構成する物質の種類と分布を探るには、地球内部での圧力上昇によって圧縮される程度を考慮して、1気圧下の密度に直す必要がある。このような補正を加えると地球の平均密度は約4100kg/m3になる。地球以外の惑星の内部構造は観測データがないのでモデルに依存するが、モデルによる補正平均密度の違いはそれほど大きくない。推定された補正平均密度は、水星は約5400kg/m3、金星は約4000kg/m3で地球とほぼ同じ、火星は約3800kg/m3である。これら補正された平均密度の違いは金属の含有量の違いを反映している。金属量は太陽から離れるにしたがって減少するように見えるが、その理由はわかっていない。


地球の構造 1:内核、2:外核、3:下部マントル、4:上部マントル、5:地殻、6:地表[編集]
構造
以下に、地表からの距離に応じた領域の名称を示す。境界の高度(深度)に幅があるのは、位置もしくは時間によって境界が変化するためである。

80-90km〜10地球半径 -- 外圏.概ね500km以下が地球大気圏である.
80-90〜1000km -- 上層大気.熱圏.
10〜80-90km -- 中層大気.
50〜80-90km -- 中間圏
10〜50km -- 成層圏.安定しており、オゾン層がある.
0〜10km -- 下層大気.対流圏.気象現象が生じる.
0km -- 地表
0-150km -- 岩石圏
0-30もしくは35 km -- 地殻
6-35〜2891 km -- マントル
6-35〜670km -- 上部マントル
670km〜2891km -- 下部マントル
2891〜5151 km -- 外核(コア (地球))
5151〜6371 km -- 内核(コア (地球))
地球内部の構造は地表面での観測で得るしかない。その中で最も優れた方法は地震波の分析である。 地震波解析によると、地球は外側から、岩石質の地殻、岩石質の粘弾性体であるマントル、金属質流体の外核、金属質固体の内核という大構造に分けられる。岩石質とはいっても、地殻とマントルでは化学組成が違う。外核と内核も金属質とはいうが、化学組成が異なる。

上部マントルには、地表面からの深さ100km付近に、地震波が低速になる層(低速度層、アセノスフェア)がある。この層は部分的に溶融していると考えられ、上部の相対的に冷たく硬い層とは物理的に区別される。アセノスフェアの上にあり、上部マントルの一部と地殻とから成るこの層を岩石圏(リソスフェア)という。岩石圏は10数枚のプレートと呼ばれる板に分かれている。

プレートには2種類ある。大陸を含む大陸プレートと、海洋地域のみを含む海洋プレートである。海洋プレートは中央海嶺で生産され、マントル対流に運ばれて中央海嶺から離れる。その間にも中央海嶺では次々にプレートが生産されるので、海洋底が拡大する。大陸プレートは海洋プレートより相対的に軽いため、海洋プレートが大陸プレートとぶつかるとその境界でマントル中に沈み込み、日本海溝のような沈み込み帯を造る。海洋プレートには海溝を伴うものと伴わないものとがあるが、これは海洋底拡大の期間の違いによると考えられる。海溝があるものは、海洋底拡大が始まってから年月が経っている。前記のように、プレートはマントル対流によって運ばれる。海溝を伴う海洋プレートはそうでないものより拡大速度が速い。これは、マントル対流の他に、沈み込んだプレートに引っ張られる効果が加わるためとされている。

海洋底の年代は、放射性元素による年代測定によると2億年以内である。これは海洋プレートがこの程度の期間を経た後、地球内部に潜り込んでしまうためである。これに対して、大陸プレートは大部分が現代から30億年前までの間に形成されており、地球の歴史を通じて形成・成長してきたものと考えられている。特に古いものは安定陸塊とも呼ばれ、最も古い部分は約44億年前に形成された。

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中心核とも言う。外核と内核に分かれ、液体の外核の半径は3480km、固体の内核の半径は1220kmである。外核は鉄とニッケルが主成分であると推定されているが、水素や炭素などの軽元素を10%以上含んでいるとしなければ、地震波速度と密度の説明ができない。内核は、地球内部の冷却に伴い、外核の鉄とニッケルが析出・沈降してできたとされており、現在でも成長が続いていると考えられている。地球中心部の圧力は約400万気圧と推定されているが、温度はよくわかっていない。これは物質組成とエネルギー輸送過程に依存するためであり、5000K〜8000Kであろうと推定されているにすぎない。

対流や地球自転などに起因する外核の金属流体の動きにより、電流が生じ、この電流により磁場が生じると考えられている。これが地球磁場である。このように地球の力学的な運動と結びついた磁場発生・維持機構を、ダイナモ機構という。

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マントル
マントルは深さ約2900 kmまで存在し、地球の体積の83%、質量の67%を占めている。マントル全体の化学組成は、必ずしもわかっているわけではない。上部マントルは、カンラン岩または仮想的な岩石であるパイロライトから成るとする考えが主流であるが、下部マントルについては輝石に近い組成であるとする説もあり、定まっていない。マントル対流の様相も含め、マントルは化学的にも力学的にも探究の余地が大きい領域である。

地殻との境には地震波速度が不連続に変化する層があり、モホロビチッチ不連続面(モホ)という。

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地殻
地殻は大陸地殻と海洋地殻に分類される。

大陸地殻は、玄武岩質らしい下部地殻と、花崗岩質の上部地殻から成る。厚さ(モホまでの深さ)は、地域による差が大きく、おおよそ30〜60kmである。平均密度は2650kg/m3である。

海洋地殻は玄武岩質で、厚さは大部分が6〜7kmである。平均密度は2950kg/m3である。

地殻表面の構造は、プレート運動による造山運動や火山活動、大気と水による風化や浸食、堆積などによって決まる。

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生命
地球は2006年現在、知られている唯一の生命体の確認されている惑星である。生命は地表だけではなく、地下10km程度から上空100kmに至る広い範囲に存在する。大気の組成は植物によって維持されている。

地球生命圏 (ガイア)
生命、生物、動物、植物
人類の活動が与える惑星地球、特に生命圏への影響は大きく悲観的な意見も少なくない。
地球を地殻、海洋や大気などのシステムの集合体として捉え、これらシステム相互の物質循環、エネルギー循環によって地球という惑星を捉える考え方もある。このような捉え方では、人類が狩猟採集の生活様式を取り、自然界の一要素として存在している場合には、人類を生命圏というシステム内部の要素として考えておけばよいとする。しかし、人類が農耕など自らのために環境を改変するようになった場合には、人間圏という新しいシステムが地球に誕生したとみなし、新システムと既存のシステムとの相互作用によって地球表層環境が定まるという見方をする。このような見方に立つと、現在の地球は新しいシステムが誕生し、システム相互の新たな均衡に向かって変化しつつある時代に入ったということもできる。

アポロ12号から見た月[編集]
衛星
地球の 衛星 名前 直径 (km) 質量 (kg) 平均公転半径 (km) 公転周期
月 3,474.8 7.349 × 1022 384,400 27日 7時間 43.7分
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地理
総面積は5億1007万2000km2で、そのうち海が3億6113万2000km2(地球表面の70.8%)、陸地が1億4894万km2(29.2%)である。

陸地は地球表面全体に均等にではなく北半球に偏って分布しており、陸地の多い側を陸半球(りくはんきゅう)、海の多い側を水半球(すいはんきゅう)と呼ぶ。陸地はランダムに分布するのではなく、大陸という形でまとまって位置している。海洋も深度の分布にはっきりした偏りがあり、深度4000〜5000mに全海洋の33%の面積を占める海洋底という構造がある。
抗生物質
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抗生物質(こうせいぶっしつ antibiotics)は、微生物が産生し、ほかの微生物の増殖を抑制する物質の総称である。

目次 [非表示]
1 概念
2 薬理
3 分類
3.1 構造による分類
3.2 作用機序による分類
3.3 その他
4 関連



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概念
antibioticsの語は1941年にS.A.ワクスマンが定義した「微生物によってつくられ、微生物の発育を阻止する物質」が原義である。

フレミングが最初に発見した抗生物質であるペニシリンはアオカビが産生する。初期の抗生物質は抗菌性(antibacterial)を示すものが殆どである。

一方、抗生物質が化学療法にもたらした貢献は革新的であり抗生物質は抗菌剤の代名詞ともなった。その後、化学療法が扱う抗真菌、抗ウイルス、抗腫瘍の領域においても、真菌類や放線菌類などの産生する天然物が探求されていった。その結果、抗腫瘍性抗生物質のように必ずしも微生物ではないウイルスや悪性新生物の化学療法剤も抗生物質に含まれる様になった。

また天然物を化学的に修飾しその作用の増強や性質の改良が研究され、ニューキノロン系などのように、産生する微生物が存在しない人工抗菌剤もその由来により抗生物質とよばれるようになった。したがって、今日では「微生物の産生物に由来する化学療法剤」が広義には抗生物質と呼ばれている。言い換えると、抗生物質は微生物の産生物に由来する抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤そして抗腫瘍剤であり、その大半が抗菌剤である。

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薬理
抗生物質を含む抗菌剤は、細菌が増殖するのに必要な代謝経路に作用することで細菌にのみ選択的に毒性を示す(人体への毒性はそれに比べはるかに小さい)化学物質である。アルコール、ポビドンヨードなどのように、単に化学的な作用で細菌を死滅させる殺菌剤、消毒薬とは区別される。

細菌性の肺炎や気管支炎、中耳炎、敗血症など感染症の治療に用いられる。人類の最大の脅威であった細菌感染を克服し、平均寿命を大幅に伸ばすこととなった大発明であった。しかし、感染症との戦いは終わったわけではなく、治療法の開発されていない新興感染症、抗生物質の効力が薄くなるなどした再興感染症などが問題となっている。

抗生物質を濫用すると、細菌が抗生物質を分解したり無毒化してしまう因子を獲得して、抗生物質の効かない耐性菌(MRSAなど)が出現してくる危険性が増える。実際、医療現場を中心に、多くの抗生物質に耐性を示す多剤耐性菌の存在(院内感染)が問題になるようになっている。耐性菌にも効果があるとされたバンコマイシンでさえ効果のない腸球菌(VRE)、ブドウ球菌(VRSA)などが報告されるようになった。

ほとんどがウイルス性である風邪には治療効果はなく、細菌感染の合併予防にも効果があるとの根拠はないとして、日本呼吸器学会は風邪への安易な抗生物質処方を控えるべき旨のガイドラインを発表した。
硫黄
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リン - 硫黄 - 塩素
O
S
Se




周期表

一般特性
名称, 記号, 番号 硫黄, S, 16
分類 非金属
族, 周期, ブロック 16 (VIB), 3 , p
密度, 硬度 1960 kg/m3, 2
単体の色 淡黄色

原子特性
原子量 32.065 amu
原子半径 (計測値) 100 (88) pm
共有結合半径 102 pm
VDW半径 180 pm
電子配置 [Ne]3s2 3p4
電子殻 2, 8, 6
酸化数(酸化物) ±2, 4, 6 (強酸性酸化物)
結晶構造 斜方晶
物理特性
相 固体
融点 388.36 K (112.8 ℃)
沸点 717.87 K (444.7 ℃)
モル体積 15.53 ×10-3 m3/mol
気化熱 データなし
融解熱 1.7175 kJ/mol
蒸気圧 2.65 E-20 Pa (388 K)
音の伝わる速さ データなし
その他
クラーク数 0.06 %
電気陰性度 2.58(ポーリング)
比熱容量 710 J/(kg*K)
導電率 5.0 E-22 106/m Ω
熱伝導率 0.269 W/(m*K)
第1イオン化エネルギー 999.6 kJ/mol
第2イオン化エネルギー 2252 kJ/mol
第3イオン化エネルギー 3357 kJ/mol
第4イオン化エネルギー 4556 kJ/mol
第5イオン化エネルギー 7004.3 kJ/mol
第6イオン化エネルギー 8495.8 kJ/mol
(比較的)安定同位体
同位体 NA 半減期 DM DE MeV DP
32S 95.02% 中性子16個で安定
33S 0.75% 中性子17個で安定
34S 4.21% 中性子18個で安定
35S {syn.} 87.32 d β- 0.167 35Cl
36S 0.02% 中性子20個で安定

注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。
硫黄(いおう、米:Sulfur, 英:Sulphur) : 原子番号 16 の元素。元素記号は S。酸素族元素の一つ。多くの同素体や結晶多形が存在し融点、密度はそれぞれ異なる(後述する)。沸点444.674℃。




目次 [非表示]
1 用途
2 同素体
3 硫黄の所在・製法
3.1 日本での硫黄の生産
4 硫黄の化合物
4.1 硫黄のオキソ酸
5 その他の硫黄化合物
5.1 塩
6 関連項目



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用途
硫黄から製造される硫酸は化学工業上最も重要な酸である。一般的に酸として用いられるのは希硫酸、脱水剤や乾燥剤に用いられるのは濃硫酸である。また、種々の硫黄を含んだ化合物が合成されている。

黒色火薬の原料であり、合成繊維、医薬品や農薬、また抜染剤などの重要な原料であり、さまざまな分野で硫化物や各種の化合物が構成されている。 農家における干し柿、干しイチジクなどの漂白剤には、硫黄を燃やして得る二酸化硫黄が用いられる(燻蒸して行われる)。

ゴムに数%の硫黄を加えて加熱すると(架橋により)弾性が増し、さらに添加量を増やすと硬さを増して行き、最終的にはエボナイトとなる。 第一次世界大戦で化学兵器として硫黄マスタードガスが使用され、多くの死傷者を出した。

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同素体
天然に普通見ることの出来る同素体は

S8硫黄 - 斜方硫黄(α硫黄)、単斜硫黄(β硫黄, γ硫黄)
直鎖状硫黄(Sn) - ゴム状硫黄(プラスチック硫黄, plastic sulfur)
である。

S8硫黄
常温、常圧で固体であるS8硫黄は3つの結晶形を持つ。


α硫黄(斜方硫黄)融点112.8℃、比重2.07、淡黄色斜方晶
β硫黄(単斜硫黄) 融点119.6℃、比重1.96、淡黄色単斜晶
γ硫黄(単斜硫黄) 融点106.8℃、比重1.955、淡黄針状晶
いずれも、S8硫黄を単位構造とする結晶であるが、95.6℃以下では斜方硫黄が安定であり、それ以上の温度では単斜硫黄系が安定である。

S8硫黄は融点直上の温度では黄色をしており、粘性も低いが、温度が上昇するにつれて直鎖状硫黄へと変化が進み、159.4℃以上では暗赤色となり粘性が増大し殆ど流動性を失う。この温度以上ではS8硫黄の環が解裂し直鎖状のビラジカルが発生し、直鎖状S16、S24などのオリゴマー化が進行し直鎖状硫黄(Sn)が形成され粘性が急速に増大する。さらに加温すると、直鎖状の分子が切れて再び流動性を取り戻し、沸点の444.674℃にいたる。暗赤色の150℃〜195℃の硫黄を冷水に投入すると、黒褐色のゴム状硫黄となるが放置すると斜方硫黄になる。

他の同素体として、硫黄蒸気の分子量測定からS2、S4、S6、S7等が存在することが判明している。また、Hubble宇宙望遠鏡での木星の衛星イオのスペクトル観測では、S2、S3、S4の存在が観測されている。

また、硫黄の同素体は環状硫黄分子として人為的に合成されてきており、シクロ-S6を筆頭に、シクロ-S6、シクロ-S7、シクロ-S9、シクロ-S10、シクロ-S11、シクロ-S12、シクロ-S18、シクロ-S20等が合成され、X線結晶構造解析でその存在が確認されている。

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硫黄の所在・製法
天然には数多くの硫黄鉱物(硫化物、硫酸塩鉱物)として産出する。単体でも産出する。温泉(硫黄泉)では硫黄が昇華した硫黄華や、湯の花としてコロイド状硫黄が見られ、白く濁って見える。

火山性ガスには硫化水素、二酸化硫黄が含まれ、それが冷えると硫黄が析出する。

2H2S + SO2 → 3S + 2H2O

単体硫黄を産出することで、古来からイタリアのシシリー鉱山が有名である。また現代ではハーマン・フラッシュが1891年に開発した、165℃の過熱水蒸気を鉱床に吹き込み硫黄を回収するフラッシュ法で、アメリカのテキサス州やルイジアナ州、メキシコ、チリ、南アフリカの鉱山で大量に採掘される。この方法は、上記の火山性ガスからの硫黄の析出の逆反応である。取り出されたガスを冷やすと硫黄が析出する。

3S + 2H2O → 2H2S + SO2 (高温で進行)

2H2S + SO2 → 3S + 2H2O (低温で進行)

また、石油精製の脱硫による副産物として大量の硫黄が供給されている。

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日本での硫黄の生産
日本には火山が多く、火口付近に露出する硫黄を露天掘りにより容易に採掘することが可能であることから、古くから硫黄の生産が行われていた。 早くも8世紀の「続日本紀」には、信濃国(長野県米子鉱山)から朝廷へ硫黄の献上があったことが記されている。 鉄砲の伝来により、火薬の材料として中世以降、日本各地の硫黄鉱山開発が活発になった。江戸時代には硫黄付け木として火を起こすのに用いられた。明治期の産業革命に至り鉱山開発は本格化する。純度の高い国産硫黄は、マッチ(当時の主要輸出品目)の材料に大量に用いられ、各地の鉱山開発に拍車が掛かった。

昭和20年代の朝鮮戦争時には、硫黄価格がつり上がり「黄色いダイヤ」と呼ばれ、鉱工業の花形に成長する。 昭和30年代に入ると資源の枯渇に加え、石油の脱硫装置からの硫黄生産が可能となり、生産方法は一変する。エネルギー転換に加え、大気汚染の規制が強化されたことから、石油の副生成物である硫黄の生産も急増。硫黄の生産者価格の下落は続き、昭和40年代半ばには国内の硫黄鉱山は、全て閉山に追い込まれた(岩手県の松尾鉱山など)。 現在、国内に流通している硫黄は、全量が脱硫装置起源のものである。

星座
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星座(はくちょう座)星座(せいざ、Constellation)は、複数の恒星が天球上に占める見かけの配置を、その特徴から連想したさまざまな事物の名前で呼んだものである。古来さまざまな地域・文化や時代に応じていろいろなグループ化の方法や星座名が用いられた。古代中国では星宿と呼んだ。

目次 [非表示]
1 概要
2 88星座の一覧
3 歴史
3.1 日本語での呼称
4 関連記事
4.1 外部リンク



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概要
現在一般的に用いられる星座名は、国際天文学連合(IAU)が定めた88星座の分類による。これは西暦100年頃、アレキサンドリア(エジプト)の天文学者クラウディオス・プトレマイオスがオリオン座・ふたご座等、古代ギリシアに由来する星座をまとめた「トレミーの48星座」(トレミーはプトレマイオスの英語読み)をベースに、ヨーロッパ諸国の大航海時代に南天に与えられた比較的新しい星座(ほうおう座、はちぶんぎ座など)を付け加えることにより成立した。

そのほかの呼び名も提案されたが勝ち残れなかった。特に「しぶんぎ座」は、現在はうしかい座(りゅう座とも)の一部で、これにちなんで「しぶんぎ座流星群」の名がある。現在の領域にちなんで「りゅう座ι流星群」ともいう。

これ以外にも非公式な呼び名(asterism:星群)もある。例えば、「北斗七星」はおおぐま座の目立った7個の星がひしゃく状をなすことから名づけられた名前である。

IAUの星座分類は、名称を定義しただけではなく、各星座の範囲を厳密に決めたことも特徴である。すべての星座は赤経・赤緯の線に沿った境界線で区切られている。このため、あらゆる太陽系外部の天体は必ずどれかひとつの星座に属することになる。各恒星は、星座内での光度の順番などにより、ギリシャ語のアルファベットと星座名をあわせ、「こと座 α星」などと呼ぶ。国際的にはラテン語を使い、α Lyraeと書く。このとき星座名は属格に活用変化させる。3文字の略符を使い、α Lyr と書いてもよい。4文字の略符もあるが全く使われない。恒星は、星座内で明るい順にα,β,γと名付けられる。この方式で最初の全天恒星図を作ったヨハン・バイエルにちなみ、この命名法による名をバイエル符号と呼ぶ。バイエル符号以外の命名法もある。恒星の命名法についての詳細は、恒星の項目を参照のこと。

天文学的には恒星同士の見かけの並びは特段の意味は無い。散開星団のプレアデス(すばる)などの例外を除き、星座を構成する星は互いに天体力学的な関連をもって並んでいるわけではない。地球からの距離もまちまちであって、太陽系の位置からたまたま同じ方向に見えるだけである。

しかし、古来星座にまつわるさまざまな伝説・神話が伝承されているため、これらの物語を通じて星座や天体観測に興味を持つきっかけを持つ人も多く、天文学の入門として広く話題として取り上げられ、親しまれている。
生物群集
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ある一定区域に生息する、生物種をまとめて考えるとき、これを生物群集(せいぶつぐんしゅう)、あるいは単に群集と呼ぶ。

一般に、ある区域を選んでそこにいる生物を見れば、動物、植物、菌類、原生生物等々、極めて多様な生物がそこに含まれる。それらすべてが、その場所の生物群集を構成することになる。しかしながら、それらすべてをまとめて対象にすることは、現実的には不可能に近く、研究や検討の対象とする場合、それらの一部を選ぶ場合が多い。たとえば植物群集として、シダ植物と種子植物を対象にする場合や、昆虫群集、土壌菌群集などという使い方をする。実際に、ある程度同じ分類群に属するものは、互いに空間利用や要求する資源に共通性があるので、このような選び方はさほど恣意的なものではない。

群集を研究対象とする生物学は群集生態学である。特に、植物群集を対象にする生態学は、独自の発展を遂げており、植物社会学という。

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群集のもつ特徴
群集がどのような種から構成されているかは、群集の重要な特徴であり、これを種組成という。

群集を構成する生物種間には、競争、捕食被食、寄生、共生など、様々な関係がある。

植物の場合、どれも光と水という共通の資源を求めるので、競争関係にあると見られる。

捕食被食(食う・食われる)の関係を取り出すと、群集の中には植物を食うもの、さらにそれを食うものというように、一列の鎖状関係が見いだせる。これを食物連鎖という。

また、食物連鎖を見ると、すべての動物はそのエネルギーを直接間接に植物に依存していることがわかる。従って、植物の光合成量は、その群集のそれ以外の生物すべてを支えていると見られる。そこで、植物の光合成量を生産量という。また、そのような面から見ると、植物を直接利用するもの、それを食う動物、あるいは他の生物の老廃物や遺体を利用するものというように、群集に含まれる生物種は、それぞれいくつかの役回りに区別することができる。これは詳しく見れば、さらにいろいろの役回りに見分けることができるだろう。そのような、群集内での役回りのことを、生態的地位という。

生態的地位がほぼ等しいものをまとめて、光合成するもの、植物食者、動物食者、腐植食者に分けると、それらの間を様々な物質循環とエネルギーの流れがあることを見て取れる。 エネルギーの大まかな流れを見たとき、光合成するもの、植物食者、動物食者の間では、エネルギーの流れが一方的で、段階を追うごとにエネルギーを消費してゆくわけだから、段階を追ってその量が少なくなければならない。これを積み上げて生態ピラミッドという。

安定した群集では、その種組成が長期にわたり変わらない(あるいは季節的変動があるにせよ、同じ季節が巡ってくれば、ほぼ同じものが再現される)と考えられる。しかし、変化し続ける群集もある。群集のあるところの土台が変化し続ければ、当然変化するであろうし、また、切り開かれたさら地のように、急激な変化を受けた立地では、生物群集は時間とともに大きく変化する。この後者のような場合、群集の変化には一定の型がある。そのような場合、この群集の変化を遷移という。特に、植物群集の遷移が有名である。

ほとんどすべての生物種は、互いに直接ないし間接に関係を持っている。歴史的経過の中で、安定した群集では、おそらく構成種が互いに牽制し合ったり、助け合ったりして、どれかの種が急激に増加したりしてバランスが壊れることがないようになっているものと思われる。 帰化生物のようななじみのない侵入者の出現や、大型捕食動物のような影響の大きい種の欠損が起こると、群集が大きくバランスを崩す場合がある。
核磁気共鳴
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核磁気共鳴(かくじききょうめい、Nuclear Magnetic Resonance, NMR)は外部静磁場に置かれた原子核が固有の周波数の電磁波と相互作用(吸収あるいは放出)する現象である。

静磁場中の分子にラジオ波領域の電磁波を当てるとき、分子を構成する原子の磁気的環境によってそれらの吸収する周波数が異なる。すなわち、孤立している核と、分子を構成し近傍原子の電気的磁気的影響を受ける核とでは共鳴周波数にずれが生じる。このずれ、あるいは分子中の各原子における NMR を観測・測定する分光法を核磁気共鳴分光法と呼ぶ。

核磁気共鳴分光法、特に 1H あるいは 13C NMR は有機化学の領域において分子構造の同定に用いられる。 医療用診断装置としてこの現象をコンピューター断層撮影法に応用した方法が磁気共鳴画像法 (MRI) である。

目次 [非表示]
1 原理
1.1 CW-NMR(連続波法 NMR、Continuous Wave NMR)
1.2 FT-NMR(フーリエ変換 NMR、Fourier Transform NMR)
1.3 緩和
1.3.1 縦緩和
1.3.2 横緩和
1.4 核オーバーハウザー効果 (Nuclear Overhauser Effect, NOE)
1.5 二次元NMR
2 装置
3 測定方法
4 NMR スペクトルの解釈
4.1 遮蔽
4.2 カップリング
4.3 溶媒効果
5 外部リンク



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原理
原子番号と質量数がともに偶数でない原子核は0でない核スピン量子数 I と磁気双極子モーメントを持ち、その原子は小さな磁石と見なすことができる。それに磁場をかけるとゼーマン効果によって磁場の強度に比例する、一定のエネルギー差を持った 2I + 1 個のエネルギー状態(核スピン 1/2 の核についてはそれぞれの状態をアップスピンとダウンスピンとしばしば呼ぶ)をとる。電磁波の周波数を変化させながら分子に当てていくと、そのエネルギー差に相当する周波数(ラーモア周波数、Larmor 周波数)の時に吸収が起こる。そのエネルギー差は原子の化学的な環境によって異なるので、吸収した電磁波の周波数からその原子の化学的な環境を知り、ひいては化学構造を詳細に知ることができる。主に対象となる原子は水素または炭素(通常の 12C ではなく核スピンを有する同位体 13C(カーボン・サーティーン)を測定する)であり、これらについては膨大な資料が存在する。水素原子を対象とするものを 1H NMR(プロトンNMR)、炭素原子を対象とするものを 13C NMR(カーボン・サーティーン NMR)と呼ぶ。他にそれ以外の元素についても核スピンを持ちさえすれば原理的には測定可能であり、現代の有機化学では最も多用される分析手法の一つである。測定する核種によっては、磁気回転比や天然存在比等の違いで感度や線幅が異なる。

[編集]
CW-NMR(連続波法 NMR、Continuous Wave NMR)
初期に用いられた測定方法で、ある一定の磁束密度の磁場のもとで試料に電磁波を周波数を連続的に変化させながら当てていき吸収量を測定するか、または磁場を変化させながらある一定の周波数の電磁波を当て吸収量を測定する方法である。通常の電磁石を用いるならば磁場を変化させる方が周波数を変化させるよりも高精度でできるので、後者の方法が用いられる。

[編集]
FT-NMR(フーリエ変換 NMR、Fourier Transform NMR)
現在主流の測定方法である。線形応答理論によればインパルス応答関数のフーリエ変換は周波数応答関数を与える。周波数応答関数はある周波数の電磁波が吸収される程度を表す関数であるから、これは NMR スペクトルに他ならない。それゆえにインパルス(パルス状の電磁波)を試料に当ててすべての核を一斉に励起し、その結果放出される電磁波、すなわち自由誘導減衰 (Free Induction Decay, FID) を測定し、これをフーリエ変換することで NMR スペクトルを得ることができる。これにより測定時間が大幅に短縮された。また高速フーリエ変換のアルゴリズムの開発によりフーリエ変換の計算時間も短縮され、二次元 NMR 測定のような膨大なデータを処理する必要のある測定も実用可能となった。

[編集]
緩和
電磁波を受けることによって励起された原子がエネルギーを放出して基底状態に戻ること。NMR においては共鳴に関与するエネルギー準位の差が小さいので自然放出の確率は無視できる程度に小さく、周囲の熱的な摂動からエネルギー準位の差に相当する周波数成分を拾って誘導放出を起こしたものと考えてよい。

摂動の原因となるのは周囲の電子や原子核の持つ磁気双極子モーメントや電気四極子モーメントである。これらから受ける磁場が分子のブラウン運動や結合の回転によって変化する。

自身の持つ電気四極子モーメントは緩和を著しく加速させる。核スピン 1/2 の原子は電気四極子モーメントを持たず緩和速度が遅いため、測定に長い時間が必要であるが、緩和する前にさらにスピンを操作することができるため、これらの核に対しては様々な測定法が開発された。そのため、核スピン 1/2 の 1H, 13C, 15N, 19F, 29Si, 31P といった核が NMR の測定の中心を占める。

逆に核スピン1以上の核は、一部の核を除けば緩和速度が著しく速いため、時間とエネルギーの間の不確定性原理によりエネルギー準位に幅ができる。すなわち共鳴周波数に幅があるのでシグナルがブロードとなり分解能が低くなる。

複数回の積算を行う場合には、緩和に必要な時間より十分長い間隔をおいて次の測定を開始しないと感度低下がおこる。

[編集]
縦緩和
スピン−格子緩和とも言い、電磁波を照射することで上の準位に上がったスピンが外(格子)にエネルギーを放出しながら元のエネルギー準位に戻る過程のこと。この時定数は T1 で表される。

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横緩和
スピン−スピン緩和とも言い、スピンの位相がそろった状態から位相がバラバラの状態になる過程。この時定数は T2 で表される。 エントロピー的な要請から、T1 ≧ T2 となる。

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核オーバーハウザー効果 (Nuclear Overhauser Effect, NOE)
ある原子 A が吸収する電磁波を照射しつつ電磁波を掃引して全体の吸収を測定を行なうとする。このときすべての原子について、そのエネルギー差自体は変化しない。しかし、原子 A と空間的に近い位置にある原子では2つのエネルギー状態の占有率が原子 A への照射が無かったときから変化する。そのため、普通に測定した NMR スペクトルと照射を用いて測定した一次元 NMR スペクトルを比較すると、ピークの面積(積分値)が異なる。このように照射によりエネルギー状態の占有率が変化すること、またそれに付随するスペクトルの変化を核オーバーハウザー効果という。NOE を利用すると原子 A と積分値の変わったピークに相当する原子は立体的に近い位置にある、ということが分かる。

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二次元NMR
FT-NMR においてはパルスによって全ての核を励起した後、さらにパルスを当てることにより励起のエネルギーをその核と相互作用のある核に移動させることができる。このことを利用してある原子と別の原子の間の相関を調べるのが二次元 NMR 分光法である。

二次元 NMR においては測定したい相関に応じて、複数のパルスがある決められた順序、時間間隔で当てられる。この順序、時間間隔をパルス・シークエンスと呼ぶ。どのパルス・シークエンスも大体、準備期−展開期−混合期−検出期の4つの部分からなる。

準備期: 相関を測定したい第1の核を励起する(直接第1の核を励起する場合は準備期は無い)
展開期: 第1の核が励起された状態
混合期: 第1の核と相互作用のある第2の核へエネルギーを移動させる(検出パルスにより直接第1の核から第2の核へ移動させる場合は混合期は無い)
検出期: 第2の核からの FID を測定する
展開期の時間の長さ(普通 t1 で表す)を変えていくと、検出期の FID の強度が第1の核のラーモア周波数で振動する。FID をフーリエ変換した後の第2の核のシグナルの強度も第1の核のラーモア周波数で振動していることになる。このことから相互作用している2つの核のラーモア周波数を同定することができる。

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装置
NMR の装置は一定の磁場(外部磁場)をかけるコイル、電磁波の発生器と検出器、データ処理のためのコンピューターで構成される。なお測定に際しては、感度(強力な磁場の元では二つの状態のエネルギー差が大きくなり、その占有率の差が大きくなるため感度が上がる)および分解能を上げるために非常に強力な磁場を発生させるために低温の液体窒素や液体ヘリウムを使った超伝導磁石を使うことが多い。

クエンチ
何らかの理由で超伝導状態が破れてしまうこと。超伝導状態で無くなることで電気抵抗により発熱し、冷媒として用いている液体ヘリウムなどが一気に気化するため、酸欠状態になる可能性があり非常に危険である。
ロック
長時間の測定を行なうと、その間に室温の変動などが原因で超伝導磁石の磁場強度が変化することがある。この変化を追跡し補正するための仕組みがロックである。通常ロックは重水素化した溶媒の重水素原子の NMR 信号(ロック信号)を測定し、これが常に一定の周波数に保たれるように磁場を調整し続けることによってなされる。
シム (Shim)
NMR を測定する際には試料溶液内の磁場の方向・強度は完全に均一でなければならない。しかしメインの超伝導磁石では微調整が不可能であるため、この調整を行なうためのコイルが設置されている。これをシムコイルといい、通常超伝導磁石クライオスタット内のシムコイルをクライオシム(コイル)、磁石のクライオスタット外でボア内プローブの外側にあるシムコイルを室温シム(コイル)と呼ぶ。これらコイルに流れる電流の量を調整して磁場を均一にすることをシム調整という。シムとは詰め木という意味で、かつて電磁石で NMR を測定していた時代に磁場を均一に調整するために装置に木の板を詰めたりして調整していたことに由来する。
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測定方法
一般的の溶液測定では測定する化合物を溶媒に溶かし、溶液を無機ガラス製の NMR チューブに入れ、磁石内に設置されたプローブに入れて測定する。有機化学で一般に使われる溶媒には水素原子が多量に含まれており、このような溶媒を使ってプロトン NMR を測定すると溶媒成分だけが大きく反映し、溶質の分析が非常に困難になる。そこでこの分析に用いる溶媒として、水素を含まない四塩化炭素、あるいは水素原子を重水素に置き換えた溶媒(重溶媒)を用いることが多い。また、サンプルは必ずしも溶液である必要はなく、固体状態での測定も可能である。

低温NMR
非常に不安定で室温では壊れてしまうような分子については、液体窒素などを用いてマイナス数十度以下の低温で溶液 NMR の測定を行う。また、常温では一瞬で進行してしまう反応を低温で観測することにより、律速段階や反応次数などを知ることが可能になる。さらに、通常の温度では単一の化合物として存在している化合物であっても低温では異性体として観測されることもあり、分子の構造をより詳しく知ることができる。ただし、測定する温度領域で液体である溶媒を用いないと低温にしたときにサンプルが凍ってしまうので注意が必要である。さらに、固体 NMR ではさらに低い温度領域での測定も可能であり、極低温領域では磁気共鳴温度計としての利用も可能である。
固体NMR
測定するサンプルの溶解性が低いとき(高分子など)や固体状態での分子の動的挙動などを調べる目的で用いられる。基本的な原理は溶液での NMR と変わらないが、溶液状態と異なり分子の回転運動等は束縛されているので、分子の向きによって異なる化学シフトを与えることで線幅が広がることが珍しくない。また、試料管を磁場方向に対し54.7度 () 傾けたマジック角で高速に回転することで、線幅を細くする方法もある。
また、固体 NMR には、双極子相互作用、四極子相互作用など、溶液の NMR では分子運動のために平均化されて見えなくなっている情報が含まれているため、それらを測定する目的で用いられることもある。
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NMR スペクトルの解釈
測定によって得られたピークの位置は、そのままの周波数の値で表すと磁場の強度に依存してしまうため、基準物質からの周波数差を磁場の強度で割った、化学シフト δ で表す(δ = (吸収のあった電磁波の周波数 − 基準物質の吸収周波数)/(磁場の強度) )。化学シフトは普通数–数百ヘルツであるのに対し、一般的な NMR 装置の磁場強度は 数百メガヘルツなので、δ の値は ppm で表わす。CW-NMRが良く使われていた時代の名残で、高周波数(δ が小さい)側を低磁場、低周波数(δ が大きい)側を高磁場と呼ぶ。基準物質として、 1H, 13C ではテトラメチルシラン (tetramethylsilane, TMS) などが用いられる。ピークの位置は測定する原子核の化学構造や電気的・物理的状況、溶媒などにより決まり、これらから得られる情報を利用して化合物の同定や構造の推定を行う。

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遮蔽
遮蔽(しゃへい)とは、観測する核の周囲に外部磁場とは逆向きの磁場が発生することで、2つの状態間のエネルギー差、すなわち共鳴周波数を小さくする効果がある。このエネルギー差(スペクトル上では化学シフト)と観測核周辺に存在する置換基の電子供与性および電子求引性には大きな相関がある。これは、観測する核の周囲の電子密度が高いほど遮蔽が強く起こるためである。逆に外部磁場と同じ向きの磁場が発生して共鳴周波数が大きくなることを脱遮蔽という。

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カップリング
ある核 A のそばにある核 B のエネルギー準位は核 A がアップスピンかダウンスピンかで若干異なる値を持つ。これにより、本来核 B が吸収するエネルギーの電磁波とは若干異なる2つの周波数で吸収が起こる。すなわち核 B に対応するピークはスペクトル上では同強度の二つのピークとなって現れることになる。このような現象をカップリングと呼び、エネルギー差をヘルツ単位で表したものをカップリング定数または J 値と言う。なお、核 A を照射しながら核 B を測定すると核 A−B 間のカップリングが消失する。このような測定方法をデカップリングという。13C の通常の測定においてはすべての 1H をデカップリングしながら測定して 13C−1H 間のカップリングによる分裂を消失させ、スペクトルの単純化を図る。

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溶媒効果
化学シフトの値は基本的には溶媒によって大きく変化はしない。しかし、芳香族化合物などは環電流の効果により溶質分子に遮蔽効果をもたらす。また、溶媒はその極性の違いなどによって分子間および分子内の相互作用にも影響を与える。

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水は生命の維持に欠かせない水(みず)は、化学的には化学式 H2O で表される分子。CAS登録番号は、7732-18-5。酸素族元素の水素化物。一酸化二水素、酸化水素、水酸、水酸化水素とも。

常温常圧では無味、無臭、無色透明の液体である。地球表面、特に海洋に豊富に存在する。生物の生存、日常生活をはじめ、工業や医療などに必須であり、人類にとって最も身近な物質の一つである。人間の体の60%から70%程度が水である。

固体は氷、液体は水、気体は水蒸気と呼ばれる。温度の高い液体の水を湯(ゆ)と言い、特に温度の高いものを熱湯(ねっとう)と言う。理・工学的な分野では熱水(ねっすい)という語も用いられる。

目次 [非表示]
1 化学的性質
2 水の循環
3 生物と水
4 人間と水
4.1 人体と水
5 水と哲学
6 水(氷)の研究史(近代以降の主要なもの)
7 用途
8 水と芸術
8.1 文学
8.2 音楽
9 別称
10 代表的な慣用句
11 関連項目



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化学的性質

水の分子模型 負の電荷を帯びた赤い酸素原子と正の電荷を帯びた白い水素原子が非対称に結合しているために、水分子は電気的な偏り(極性)をもつ
水の三態 273.16K、610.6Paでは三態が共存する。この温度を水の三重点と呼ぶ
水の分子の酸素と2つの水素の角度の図常温、大気圧下で無色透明な液体。一気圧の大気圧下での沸点は約摂氏100度(正確には摂氏99.974度)、融点は摂氏0度(実は99.974度以下の水蒸気も、0度以下の水も存在する)。摂氏3.98度で最も比重が大きく、固体は液体より比重が小さい。これは多くの他の分子とは異なる水の特性であり、水分子間での水素結合による。ヒドロキシル基を2つ持ち合わせている。液体の状態では10-7 (mol/l) (摂氏25度)が電離し、水素イオン(正確にはオキソニウムイオン)と水酸化物イオンとなっている。

沸点と融点が摂氏100度と0度という数値なのは、水の性質を基準として摂氏での温度の目盛りが定義されたことによる。また、摂氏4度のときの1立方センチメートルあたりの質量を基準に1グラムを定義したり、1グラムの水を摂氏1度温度を上げるのに必要な熱量を1カロリーにしたりするなど、単位の基準に使われることが多かったが、不純物の存在による不正確さに加え、たとえば1グラムを求める場合には、体積、圧力、温度を規定しないと正しい重量が得られないという本質的な精度の問題(キログラムを参照)があるため、近年では一意に求まる水の三重点を除けば、基準としての役割はほとんどなくなっている。

水はほかの物質を溶かしたり、溶けた物質のイオン化を促進する性質をもつ。このため溶媒としてよく使われる。また、多くの化学反応の触媒としても利用される。

天然の水には、僅かに重水(D2O:多量に摂取すると、生物には有害)が含まれている。水素の同位元素である重水素からなるものであり、重水素は核融合の材料として(水素爆弾)利用されることがある。

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水の循環
地球上には多くの水が存在しており、生物の生育や熱の循環に重要な役割を持っている。 気象学や海洋学などの地球科学、生態学における大きな要因の一つである。

その97%が海水として存在し、淡水は残り3%にすぎない。そのほとんどが氷河や氷山として存在している。

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生物と水
生物体を構成する物質で、最も多くを占めるのが水である。通常、質量にして生物体の70%-80%が水によって占められている。生きている細胞には水が含まれており、生命現象を司る化学反応の場を提供している。クマムシのように厳しい環境にも耐えられる生物は、体内の水分を放出し、不活性な状態をつくり出すことができる。

なお、生物は太古の海で誕生したと考えられている。生物の化学組成と海水の組成がにていることもその根拠の一つである。従って、水中生活が生物の原始的な姿であると見てよい。

陸上のように、常に水につかっていない環境では、生物にとって最も重要な問題の一つが水の確保である。陸上の無脊椎動物では、周囲が湿っていなければ活動できないものも多い。陸上生物に見られる進化的形態の多くが水の確保や自由水のない環境への適応である。クマムシの場合も、頻繁に乾燥にさらされる環境への適応として、休眠の能力が発達したと考えられている。

低温の固体が液体より上部にくることは、海や湖沼を完全凍結しにくくし、生物に生存のチャンスを与えている。

また、生物環境という立場から見れば、水はその比熱の大きさによって温度を安定させる意味合いが大きい。

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人間と水
人間の生活にとって水は極めて重要である。何よりもまず飲料水が確保されなければ、命を保てない。

地球上の水の97%が海水として存在し、淡水は残り3%にすぎない。しかも3%のほとんどが氷河や氷山として存在している為、飲料水にできる淡水の割合はごくわずかである。

また、多くの民族が少なくともある程度の農耕を行っており、農業用水の確保も生活の維持に重要な意味を持つ。

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人体と水
人体が過剰な水分を投与された場合、細胞外液の浸透圧が異常に下がり、低ナトリウム血症によって悪心、頭痛、間代性痙攣、意識障害等の症状を引き起こす。これを水中毒と言い、輸液ミス、心因性多飲、SIADHなどの結果としてみられる。なお致死量は体重65kgの人で10-30リットル/日である。細胞外液の浸透圧が保たれていても、水分量が過剰な場合には心臓の負荷が大きくなりうっ血性心不全となる。原因は、塩分の過剰摂取であることが多い。
器官
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器官(きかん、organ)とは、生物のうち、動物や植物などの多細胞生物の体を構成する単位で、形態的に周囲と区別され、それ全体としてひとまとまりの機能を担うもののこと。生体内の構造の単位としては、多数の細胞が集まって組織を構成し、複数の組織が集まって器官を構成している。

細胞内にあって、細胞を構成する機能単位は、細胞小器官 (細胞内小器官、小器官、オルガネラ) を参照。

目次 [非表示]
1 植物の器官
2 動物の器官
3 動物の器官一覧
3.1 あ行
3.2 か行
3.3 さ行
3.4 た行
3.5 な行
3.6 は行
3.7 ま行
3.8 ら行



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植物の器官
植物の器官には、下記のようなものがある。





種子
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動物の器官
動物の器官は、臓器(ぞうき)とも呼ばれる。内臓はより狭い概念で、体の内部に位置するものだけを指した呼び方。

同じような機能をもった器官や、全体として一連の機能を担う器官を、器官系としてまとめて考えることがある。一つの器官が複数の働きを持っているときには、複数の器官系に属することもある。器官系には、

消化器系 - 消化管
循環器系
呼吸器系 - 発声器官
泌尿器系
生殖器系
内分泌器系
感覚器系
神経系
運動器系 - 骨、関節、靭帯、筋肉
などがある。各記事には、それぞれに含まれる器官の一覧がある。

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動物の器官一覧
下記は器官の一覧である。【 】内は、関連する器官系。
ただし、各記事は、動物種の記載が特にない場合には、ヒトの器官についての解説になっている。ヒトにない器官には、その器官を有する主な動物種を記載してある。
器官系ごとの器官の一覧は、上の各器官系の記事内にある。
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あ行
アキレス腱(あきれすけん)【運動器】
胃(い)【消化器】
陰核(いんかく)【生殖器】
陰核亀頭(いんかくきとう)【生殖器】
陰茎(いんけい)【泌尿器】【生殖器】
陰唇(いんしん)【生殖器】
陰茎亀頭(いんけいきとう)【泌尿器】【生殖器】
咽頭(いんとう)【消化器】【呼吸器】【発声器官】
咽頭扁桃(いんとうへんとう)【循環器】→扁桃(へんとう)
陰嚢(いんのう)【生殖器】
陰門(いんもん)【生殖器】 ⇒ 陰裂
陰裂(いんれつ)【生殖器】
S状結腸(えすじょうけっちょう)【消化器】→大腸(だいちょう)
横隔膜(おうかくまく)【運動器】
横行結腸(おうこうけっちょう)【消化器】→大腸(だいちょう)
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か行
回腸(かいちょう)【消化器】→小腸(しょうちょう)
下行結腸(かこうけっちょう)【消化器】→大腸(だいちょう)
下垂体(かすいたい)【内分泌器】
顎下腺(がっかせん)【消化器】→唾液腺(だえきせん)
眼球(がんきゅう)【感覚器】→目(め)
肝臓(かんぞう)【消化器】
気管(きかん)【呼吸器】
亀頭(きとう)【泌尿器】【生殖器】
橋(きょう)【神経系】
胸腺(きょうせん)【循環器】
筋肉(きんにく)【運動器】
空腸(くうちょう)【消化器】→小腸(しょうちょう)
口(くち)【消化器】【発声器官】
クリトリス(くりとりす)【生殖器】→陰核(いんかく)
クリトリス亀頭(くりとりすきとう)【生殖器】→陰核亀頭(いんかくきとう)
血管(けっかん)【循環器】
結腸(けっちょう)【消化器】→大腸(だいちょう)
口蓋扁桃(こうがいへんとう)【循環器】→扁桃(へんとう)
口腔(こうくう、こうこう)【消化器】【発声器官】→口(くち)
甲状腺(こうじょうせん)【内分泌器】
喉頭(こうとう)【呼吸器】【発声器官】
後頭骨(こうとうこつ)【運動器】【骨】
睾丸(こうがん)【生殖器】【内分泌器】→精巣(せいそう)
口唇(こうしん)
肛門(こうもん)【消化器】
骨(こつ、ほね)【運動器】
骨髄(こつずい)【循環器】
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さ行
耳下腺(じかせん)【消化器】→唾液腺(だえきせん)
子宮(しきゅう)【生殖器】
舌(した、ぜつ)【消化器】【感覚器】【発声器官】
十二指腸(じゅうにしちょう)【消化器】→小腸(しょうちょう)
小陰唇(しょういんしん)【生殖器】
松果体(しょうかたい)【内分泌器】
上行結腸(じょうこうけっちょう)【消化器】→大腸(だいちょう)
小腸(しょうちょう)【消化器】
小脳(しょうのう)【神経系】
上皮小体(じょうひしょうたい)【内分泌器】
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)【運動器】
食道(しょくどう)【消化器】
神経(しんけい)【神経系】
神経線維束(しんけいせんいそく)【神経系】→神経(しんけい)
腎上体(じんじょうたい)【内分泌器】→副腎(ふくじん)
心臓(しんぞう)【循環器】
腎臓(じんぞう)【泌尿器】
膵臓(すいぞう)【消化器】【内分泌器】
精管(せいかん)【生殖器】
精索(せいさく)【生殖器】→精巣(せいそう)
精巣(せいそう)【生殖器】【内分泌器】
精巣上体(せいそうじょうたい)【生殖器】→精巣(せいそう)
精嚢(せいのう)【生殖器】
脊髄(せきずい)【神経系】
脊髄神経(せきずいしんけい)【神経系】
舌(ぜつ)【消化器】 【感覚器】 【発声器官】
舌下腺(ぜっかせん)【消化器】→唾液腺(だえきせん)
舌扁桃(ぜつへんとう)【循環器】→扁桃(へんとう)
前立腺(ぜんりつせん)【生殖器】
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た行
大陰唇(だいいんしん)【生殖器】
大腿筋(だいたいきん)【運動器】
大腸(だいちょう)【消化器】
唾液腺(だえきせん)【消化器】
胆嚢(たんのう)【消化器】
膣(ちつ)【生殖器】
虫垂(ちゅうすい)【消化器】【循環器】
直腸(ちょくちょう)【消化器】→大腸(だいちょう)
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な行
乳房(にゅうぼう)【外皮系】
尿管(にょうかん)【泌尿器】
尿道(にょうどう)【泌尿器】【生殖器】
脳(のう)【神経系】
脳神経(のうしんけい)【神経系】
脳下垂体(のうかすいたい)【内分泌器】→下垂体(かすいたい)
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は行
歯(は)【消化器】
肺(はい)【呼吸器】
鼻(はな)【呼吸器】【感覚器】
副睾丸(ふくこうがん)【生殖器】→精巣(せいそう)
副甲状腺(ふくこうじょうせん)【内分泌器】→上皮小体(じょうひしょうたい)
副腎(ふくじん)【内分泌器】
脾臓(ひぞう)【循環器】
皮膚(ひふ)【外皮系】【感覚器】
ペニス(ぺにす)【泌尿器】【生殖器】→陰茎(いんけい)
扁桃(へんとう)【循環器】
膀胱(ぼうこう)【泌尿器】
骨(ほね、こつ)【運動器】
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ま行
耳(みみ)【感覚器】
眼(め)【感覚器】→目(め)
盲腸(もうちょう)【消化器】→大腸(だいちょう)
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ら行
ランゲルハンス島(らんげるはんすとう)【内分泌器】→膵臓(すいぞう)
卵管(らんかん)【生殖器】
卵巣(らんそう)【生殖器】【内分泌器】
リンパ管(りんぱかん)【循環器】
リンパ節(りんぱせつ)【循環器】
遺跡
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遺跡(いせき)は、過去の人々の生活の痕跡がまとまって面的に残存しているもの及び工作物、建築物、土木構造物単体の痕跡若しくはそれらが集まって一体になっているもの又は施設の痕跡をいう。お互いに関連しあう遺構の集合、遺構とそれに伴う遺物が一体となって過去の痕跡として残存しているものとも言い換えられる。元は遺蹟と書いた。考古学の主要な研究対象として知られる遺跡については特に考古遺跡と呼ぶ場合がある。この場合の遺跡を面として捉えた場合、「埋蔵文化財包蔵地」とほぼ同義である。

遺跡のうち、住居跡・墳墓・貝塚・城跡など、土地と一体化されていて動かす(移動させる)事が出来無い物を遺構(いこう)と言い、石器・土器・装飾品・獣骨・人骨など、動かす(移動させる)事の出来る物を遺物(いぶつ)と言う。遺跡は、石器や土器のような遺物が散布している場合に遺跡、すなわち、「埋蔵文化財包蔵地」の存在を推測する材料になるが、遺物単体で遺跡にはなりえない。遺跡の本体を構成する要素は、遺構であることから、遺構及び遺構のあつまりを代表させて遺跡と呼ぶ場合も多い。

遺跡の調査で、遺構とそれに伴う遺物を確認することによって、モノという限られた情報であるが、当時の人々の文化、生活の営み、価値観をある程度推定することができる。

なお、遺構がなくても、キルサイト(動物の狩猟及び解体場)も遺跡と言える。キルサイトの場合は、動物の化石や狩猟に使用した石器などが出土する。出土した化石や遺物が現地性堆積物で、化石に解体痕があるなどでキルサイトであると認められた場合に遺跡となる。

一方で、お互いに関連しあう近現代の工作物、建築物、土木構造物が集まって一体になっているものも遺跡と呼ぶ。この場合は、歴史家や建築史家の研究対象であって、普通は考古学の研究対象からは除かれる。 しかし、必要に応じて、「埋蔵文化財包蔵地」の文化庁次長通知の定義にあるように、「近現代の遺跡」として「地域において特に重要なものを対象と」して痕跡として残されている近現代の工作物、建築物、土木構造物等を調査する場合もある。例えば、第二次世界大戦の痕跡として残された軍事施設や被災施設なども周辺の環境を含めて「戦争遺跡」と呼ぶことがあるが、この戦争遺跡のうち、地下に埋蔵されていて地表面からでは性格がわからない場合(すでに撤去された砲台や防空壕など)は、必要に応じて発掘調査を行って確認する場合がある。

日本では、学術的に重要で保護すべき遺跡については文化財保護法によって史跡・特別史跡の指定がはかられ、その他の遺跡についても「埋蔵文化財包蔵地」として民間開発に伴う工事の際には、現行法では、第93条(旧第57条の2)第1項による届出が義務付けられている。
生殖器
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生殖器(せいしょくき)とは、有性生殖を行う動物において、生殖活動に直接関係する器官のこと。雄(男)と雌(女)でそれぞれ異なる生殖器がある場合、それぞれを分けて、雄性(男性)生殖器、雌性(女性)生殖器と呼ぶ。より広く、生物一般の生殖にかかわる部分を呼ぶ場合も多い。

目次 [非表示]
1 一般的構造
2 動物の場合(一般論)
3 植物の場合
4 生殖器の一覧
4.1 雄性生殖器
4.2 雌性生殖器
4.3 その他
5 関連する概念
5.1 関連項目



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一般的構造
どのような生物でも生殖はおこなわれるので、生殖のためのしくみが存在するが、体細胞がそのままその役割を果たす場合、特に呼び変えることは少ない。多細胞生物では、特定の部位が生殖のために分化する場合、これを生殖器、あるいは生殖器官と呼ぶ。特に有性生殖にかかわる部分をこう呼ぶ場合が多い。動物の場合、生殖細胞を形成する部分を生殖巣(せいしょくそう)という言い方をする場合もある。また、ほ乳類の場合、生殖巣は内分泌腺の能力も持っているので、生殖腺ともいう。生殖細胞を形成する部分の周囲に、その役割を助ける構造が発達する場合、これも生殖器に含める。

形成される配偶子の大きさに差がある場合、大きい方を形成する構造を雌性生殖器(しせいせいしょくき)、小さい方を形成する方を雄性生殖器(ゆうせいせいしょくき)と呼ぶ。動物のように卵と精子を形成する場合には、卵を形成する側が雌性、精子を形成する側が雄性である。これは個体の雌雄とは無関係である。

生殖器は、有性生殖を可能にするための器官であるから、種内ではその形質は安定している。他方、生殖に関するしくみは、一般には通常の生活には利用しない部分であるから、その生物の生活活動における自然選択を受けにくいと考えられる。そのため、その構造は基本的には変化しにくい。高等植物において、花の構造や雌しべの内部構造などが重要な分類上の特徴とされるのは、ここに理由がある。その意味では、リンネが雄しべの数などを用いて分類したのも、見当はずれではない。

それと同時に、種ごとの特異性を示しやすい。特に、昆虫など外骨格の発達した動物では、その部分がキチン質でできており、しかも雌雄の生殖器がうまくかみ合う形になっている。種が異なると細部の構造が異なるので、交尾が成立しないようになっており、種間交雑を妨げる物理的な障壁として働く。各分類群の分類において、種の区別にこの部分を利用する例は多い。

このような部分は、環境との関連が薄く、つまり適応的には無意味である上、鍵と鍵穴のごとく、互いにかみ合わなければ機能として成立せず、しかも生殖に直接にかかわる。それだけに、種分化と大きくかかわることになるのだとも言われる。

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動物の場合(一般論)
動物の生殖器では、通常は両性の配偶子を形成する生殖腺と、そこから生殖細胞を体外へ導く管が1そろい、通常1個体に1対ある。雄性のものは精巣と輸精管、雌性のものは卵巣と輸卵管と呼ぶ。動物の生殖巣は、一般に体の内部にできる。体腔がある場合には、体腔内に生じる。生殖細胞が体外に出るには、体が裂けてそれらを放出するのでなければ、多くの場合、特に管が必要になる。生殖細胞の出口を生殖孔という。脊索動物においては、このために排出系が流用されている。病院で泌尿生殖器系とまとめるのはこのためである。

体節制の発達した動物では、体節ごとに生殖器を有する例もある。特に環形動物ではその例が多い。

体外受精の動物では、卵も精子も体外へ放出するだけなので、これだけあれば一応は成立する。体内受精の場合、雌は雄の精子を体内に取り込むので、生殖孔は卵の出口であるとともに、精子の取り込み口として機能することが多い。取り込んだ精子を蓄え、受精させるための構造、たとえば貯精嚢のようなものも必要となる。

雄の側は、体内受精であっても精包を届けるような方法を採るものでは、特に複雑な構造を要しない。精子を雌の体内に直接送り込む方法を採るものでは、そのための構造が必要となる。一般には精子を雌の体内に注入するために、雄の生殖孔に中空の突起を備え、これを雌の体内に差し込んで精子を送り込む方法が採られる。このような突起を陰茎(ペニス)という。また、この場合、雌の生殖孔もこれに対応せねばならない。陰茎を挿入するための雌の生殖孔を膣という。

雌の側が体内で卵を一定期間保育するものでは、輸卵管などにそのための空間が必要になる。特に、胎生のものでは、胎児を保育する部分が発達する。これを子宮という。

このように、真の交尾をおこなう動物においては、体内の生殖器官の他に、外部に種に特有な構造が雌雄ともに発達する。そこで、体内の生殖器官を内性器、体外の部分を外性器ということもある。

なお、生殖腺とつながらない生殖器を持つ動物もある。特殊なものではあるが、たとえばクモ類とトンボは生殖孔から離れて、クモでは触肢に、トンボでは腹部前端に貯精のうがある。

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植物の場合
種子植物の花は、生殖器であると言われる場合がある。種子植物の生活環は入り組んでいるので見かけ通りではないが、見かけだけで話をすれば、生殖細胞は花粉と胚珠に当たり、それぞれ雄蕊の葯と雌蕊の子房で形成される。雄蕊にはその下に柄である花糸が、雌蕊にはその先端に柱頭があり、花にはこのほかに花びらや萼などの構造があるが、いずれも花粉の核と胚珠を接触させるための構造と見なせる。

種子植物の場合、生活環の内で有性生殖に絡む部分が花に集約されているが、それ以外の植物や藻類では、まとまって生殖器官であると指定できる部分を持つものは少ない
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