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硫黄 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 移動: ナビゲーション, 検索 リン - 硫黄 - 塩素 O S Se
周期表 一般特性 名称, 記号, 番号 硫黄, S, 16 分類 非金属 族, 周期, ブロック 16 (VIB), 3 , p 密度, 硬度 1960 kg/m3, 2 単体の色 淡黄色 原子特性 原子量 32.065 amu 原子半径 (計測値) 100 (88) pm 共有結合半径 102 pm VDW半径 180 pm 電子配置 [Ne]3s2 3p4 電子殻 2, 8, 6 酸化数(酸化物) ±2, 4, 6 (強酸性酸化物) 結晶構造 斜方晶 物理特性 相 固体 融点 388.36 K (112.8 ℃) 沸点 717.87 K (444.7 ℃) モル体積 15.53 ×10-3 m3/mol 気化熱 データなし 融解熱 1.7175 kJ/mol 蒸気圧 2.65 E-20 Pa (388 K) 音の伝わる速さ データなし その他 クラーク数 0.06 % 電気陰性度 2.58(ポーリング) 比熱容量 710 J/(kg*K) 導電率 5.0 E-22 106/m Ω 熱伝導率 0.269 W/(m*K) 第1イオン化エネルギー 999.6 kJ/mol 第2イオン化エネルギー 2252 kJ/mol 第3イオン化エネルギー 3357 kJ/mol 第4イオン化エネルギー 4556 kJ/mol 第5イオン化エネルギー 7004.3 kJ/mol 第6イオン化エネルギー 8495.8 kJ/mol (比較的)安定同位体 同位体 NA 半減期 DM DE MeV DP 32S 95.02% 中性子16個で安定 33S 0.75% 中性子17個で安定 34S 4.21% 中性子18個で安定 35S {syn.} 87.32 d β- 0.167 35Cl 36S 0.02% 中性子20個で安定 注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。 硫黄(いおう、米:Sulfur, 英:Sulphur) : 原子番号 16 の元素。元素記号は S。酸素族元素の一つ。多くの同素体や結晶多形が存在し融点、密度はそれぞれ異なる(後述する)。沸点444.674℃。
目次 [非表示] 1 用途 2 同素体 3 硫黄の所在・製法 3.1 日本での硫黄の生産 4 硫黄の化合物 4.1 硫黄のオキソ酸 5 その他の硫黄化合物 5.1 塩 6 関連項目
[編集] 用途 硫黄から製造される硫酸は化学工業上最も重要な酸である。一般的に酸として用いられるのは希硫酸、脱水剤や乾燥剤に用いられるのは濃硫酸である。また、種々の硫黄を含んだ化合物が合成されている。
黒色火薬の原料であり、合成繊維、医薬品や農薬、また抜染剤などの重要な原料であり、さまざまな分野で硫化物や各種の化合物が構成されている。 農家における干し柿、干しイチジクなどの漂白剤には、硫黄を燃やして得る二酸化硫黄が用いられる(燻蒸して行われる)。
ゴムに数%の硫黄を加えて加熱すると(架橋により)弾性が増し、さらに添加量を増やすと硬さを増して行き、最終的にはエボナイトとなる。 第一次世界大戦で化学兵器として硫黄マスタードガスが使用され、多くの死傷者を出した。
[編集] 同素体 天然に普通見ることの出来る同素体は
S8硫黄 - 斜方硫黄(α硫黄)、単斜硫黄(β硫黄, γ硫黄) 直鎖状硫黄(Sn) - ゴム状硫黄(プラスチック硫黄, plastic sulfur) である。
S8硫黄 常温、常圧で固体であるS8硫黄は3つの結晶形を持つ。
α硫黄(斜方硫黄)融点112.8℃、比重2.07、淡黄色斜方晶 β硫黄(単斜硫黄) 融点119.6℃、比重1.96、淡黄色単斜晶 γ硫黄(単斜硫黄) 融点106.8℃、比重1.955、淡黄針状晶 いずれも、S8硫黄を単位構造とする結晶であるが、95.6℃以下では斜方硫黄が安定であり、それ以上の温度では単斜硫黄系が安定である。
S8硫黄は融点直上の温度では黄色をしており、粘性も低いが、温度が上昇するにつれて直鎖状硫黄へと変化が進み、159.4℃以上では暗赤色となり粘性が増大し殆ど流動性を失う。この温度以上ではS8硫黄の環が解裂し直鎖状のビラジカルが発生し、直鎖状S16、S24などのオリゴマー化が進行し直鎖状硫黄(Sn)が形成され粘性が急速に増大する。さらに加温すると、直鎖状の分子が切れて再び流動性を取り戻し、沸点の444.674℃にいたる。暗赤色の150℃〜195℃の硫黄を冷水に投入すると、黒褐色のゴム状硫黄となるが放置すると斜方硫黄になる。
他の同素体として、硫黄蒸気の分子量測定からS2、S4、S6、S7等が存在することが判明している。また、Hubble宇宙望遠鏡での木星の衛星イオのスペクトル観測では、S2、S3、S4の存在が観測されている。
また、硫黄の同素体は環状硫黄分子として人為的に合成されてきており、シクロ-S6を筆頭に、シクロ-S6、シクロ-S7、シクロ-S9、シクロ-S10、シクロ-S11、シクロ-S12、シクロ-S18、シクロ-S20等が合成され、X線結晶構造解析でその存在が確認されている。
[編集] 硫黄の所在・製法 天然には数多くの硫黄鉱物(硫化物、硫酸塩鉱物)として産出する。単体でも産出する。温泉(硫黄泉)では硫黄が昇華した硫黄華や、湯の花としてコロイド状硫黄が見られ、白く濁って見える。
火山性ガスには硫化水素、二酸化硫黄が含まれ、それが冷えると硫黄が析出する。
2H2S + SO2 → 3S + 2H2O
単体硫黄を産出することで、古来からイタリアのシシリー鉱山が有名である。また現代ではハーマン・フラッシュが1891年に開発した、165℃の過熱水蒸気を鉱床に吹き込み硫黄を回収するフラッシュ法で、アメリカのテキサス州やルイジアナ州、メキシコ、チリ、南アフリカの鉱山で大量に採掘される。この方法は、上記の火山性ガスからの硫黄の析出の逆反応である。取り出されたガスを冷やすと硫黄が析出する。
3S + 2H2O → 2H2S + SO2 (高温で進行)
2H2S + SO2 → 3S + 2H2O (低温で進行)
また、石油精製の脱硫による副産物として大量の硫黄が供給されている。
[編集] 日本での硫黄の生産 日本には火山が多く、火口付近に露出する硫黄を露天掘りにより容易に採掘することが可能であることから、古くから硫黄の生産が行われていた。 早くも8世紀の「続日本紀」には、信濃国(長野県米子鉱山)から朝廷へ硫黄の献上があったことが記されている。 鉄砲の伝来により、火薬の材料として中世以降、日本各地の硫黄鉱山開発が活発になった。江戸時代には硫黄付け木として火を起こすのに用いられた。明治期の産業革命に至り鉱山開発は本格化する。純度の高い国産硫黄は、マッチ(当時の主要輸出品目)の材料に大量に用いられ、各地の鉱山開発に拍車が掛かった。
昭和20年代の朝鮮戦争時には、硫黄価格がつり上がり「黄色いダイヤ」と呼ばれ、鉱工業の花形に成長する。 昭和30年代に入ると資源の枯渇に加え、石油の脱硫装置からの硫黄生産が可能となり、生産方法は一変する。エネルギー転換に加え、大気汚染の規制が強化されたことから、石油の副生成物である硫黄の生産も急増。硫黄の生産者価格の下落は続き、昭和40年代半ばには国内の硫黄鉱山は、全て閉山に追い込まれた(岩手県の松尾鉱山など)。 現在、国内に流通している硫黄は、全量が脱硫装置起源のものである。
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