煉獄篇 Purgatorio

ダンテに呼びかけるベアトリーチェ ウィリアム・ブレイク画煉獄は、地獄を抜けた先の地表に聳える台形の山で、ちょうどエルサレムの対蹠点にある。「浄火」あるいは「浄罪」とも言う。永遠に罰を受けつづける救いようのない地獄の住人と異なり、煉獄においては、悔悟に達した者、悔悛の余地のある死者がここで罪を贖う。

煉獄山の構造は、下から昇るごとに幾つかの段階に分かれている。亡者は煉獄山の各階梯で生前になした罪を浄めつつ上へ上へと登り、浄め終えるとやがては天国に到達するのである。

地獄を抜け出したダンテとウェルギリウスは、煉獄山の麓で小カトーと対面する。ペテロの門の前でダンテは天使の剣によって額に印である七つのPを刻まれた。Pは煉獄山の七冠で浄められるべき「七つの大罪」、 Peccati を象徴する印である。そして、ウェルギリウスに導かれて山を登り、生前の罪を贖っている死者と語り合う。ダンテは煉獄山を登るごとに浄められ、額からPの字が一つずつ消えていく。

山頂でダンテは永遠の淑女ベアトリーチェと出会う。ウェルギリウスはキリスト教以前に生れた異端者であるため天国の案内者にはなれない。そこでダンテはウェルギリウスと別れ、ベアトリーチェに導かれて天国へと昇天する。

煉獄山の構造
煉獄前域 煉獄山の麓。小カトーがここに運ばれる死者を見張る。
第一の台地 破門者 …教会から破門された者は、臨終において悔い改めても、煉獄山の最外部から贖罪の道に就く。
第二の台地 遅悔者 …信仰を怠って生前の悔悟が遅く、臨終に際してようやく悔悟に達した者はここから登る。
ペテロの門 …煉獄山の入口。それぞれに色の異なる三段の階段を上り、金と銀の鍵をもって扉を押し開く。
第一冠 高慢者 …生前、高慢の性を持った者が重い石を背負い、腰を折り曲げる。ダンテ自身はここに来ることになるだろうと述べている。
第二冠 嫉妬者 …嫉妬に身を焦がした者が、瞼を縫い止められ、盲人のごとくなる。
第三冠 憤怒者 …憤怒を悔悟した者が、朦朦たる煙の中で祈りを発する。
第四冠 怠惰者 …怠惰に日々を過ごした者が、ひたすらこの冠を走り回り、煉獄山を周回する。
第五冠 貪欲者 …生前欲深かった者が、五体を地に伏して嘆き悲しみ、欲望を消滅させる。
第六冠 貪食者 …暴食に明け暮れた者が、決して口に入らぬ果実を前に食欲を節制する。
第七冠 愛欲者 …不純な色欲に耽った者が互いに走りきたり、抱擁を交わして罪を悔い改める。
山頂 地上楽園 …常春の楽園。煉獄で最も天国に近い所で、かつて人間が黄金時代に住んでいた場所という。














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