触媒
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触媒(しょくばい、Catalyst)とは、特定の化学反応を促進する物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう。触媒がもつ作用(触媒作用、Catalysis)自体を指す場合もある。
1823年デーべライナー白金のかけらに水素を吹き付けると点火することに気がついた。白金は消耗せず、その存在によって水素と空気中の酸素とを反応させることを明確にした。
後に反応によって消費されても、反応の完了と同時に再生し、変化していないように見えるものも触媒とされた。
現在では、反応の種類に応じてたくさんの種類の触媒が開発されている。特に化学工業や有機化学では欠くことができない。また、生物にとっては酵素が重要な触媒としてはたらいている。
目次 [非表示]
1 機構
2 種類
2.1 均一触媒
2.2 不均一触媒
2.3 生体触媒
3 有名な触媒反応
4 関連項目
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機構
触媒は反応物と反応中間体を形成することで、反応に必要とされる活性化エネルギーを低下させる。これにより、反応は触媒が存在しない場合よりも高速に、または効率よく進行する。言い換えれば、触媒はより反応し易い経路を形成するものであるともいえる。反対に、反応を遅くさせる物質のことを負触媒(逆触媒)という。
有機合成では、反応を早くするだけではなく、複数の反応が起こりうる状態において、目的とする物質を選択的に得るために触媒を用いる。特に光学活性体の合成を行う場合は、不斉源となる触媒を使うことが多い。
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種類
触媒は目的の反応によって多くの種類が開発されている。状態での分類としては、溶液に溶かして用いる均一触媒(homogeneous catalyst)と、固体で用いる不均一触媒(heterogeneous -)に分類される。例えば、洗剤に配合されている酵素は前者、二酸化マンガンが過酸化水素水を酸素と水へ分解するのは後者である。均一触媒は比較的有機合成で多く用いられ、不均一触媒は化学工業で用いられることが多い。
化学・工業で用いられる触媒はほとんどが人工的に作られた物質であるが、生体内で進行する化学反応を触媒する物質も多く存在し、まとめて生体触媒と呼ぶ。生体触媒で最も重要なものはタンパク質からできている酵素であるが、生命の起源においてはRNAの触媒(リボザイム)が極めて重要な役割を果たしていたといわれている。また、抗体を触媒として利用した抗体触媒の研究も、1990年代には盛んに行われた。
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均一触媒
均一触媒としては、適当な酸や塩基を触媒とするものや、金属錯体を利用するもの(錯体触媒)がある。金属錯体は配位子を自由にデザインすることで反応性の制御が可能であるため、有機化学の分野でさかんに研究が行われている。
有機反応では、系中に少し酸(塩基)加えるだけで反応性が格段に上昇することがある、これを酸(塩基)触媒という。酸は塩酸、硫酸などのH+を放出するプロトン酸を用いる場合もあるが、不斉反応などでは金属錯体などのルイス酸を使うことも多い。2001年のノーベル化学賞が金属錯体を用いた不斉合成に授与されたように、その重要性はきわめて高く評価されている。
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不均一触媒
化学工業など、基礎的な化学物質を大量に生産する施設では、生成物の回収や、触媒の性能の維持が容易であるという理由から、不均一触媒が多く用いられている。不均一触媒は白金やパラジウム、酸化鉄のような単純な物質から、ゼオライトのような複雑な構造の無機化合物、あるいは金属錯体も使用される。
多くの場合、不均一触媒は表面で反応が進行する。したがって、触媒の効率をよくするためには、表面積を大きくすることが肝心となる。このため、高価な金属(白金、パラジウムなど)を触媒として用いる場合は、小さな微粒子にして、活性炭やシリカゲルなど(担体という)の表面に塗って使用する。この方法はそのままでは固体として使用するのが難しい金属錯体触媒などでも利用される。
また、自動車には排気ガスに含まれるNOxの浄化用に白金が不均一触媒として使用されている。
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生体触媒
生体中で触媒としてはたらくタンパク質のことを酵素という。酵素を使った反応は水中で行えるため、有機溶媒の使用を減らすことができ、また錯体触媒に含まれるような重金属を使用しないことから、環境負荷の低い触媒として期待されている。実際にブタの肝臓などから得られる酵素は工業的にも触媒として利用されている。
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有名な触媒反応
新しい触媒が開発されると、社会的にも非常に大きな影響を与えることがある。
ハーバー・ボッシュ法 - 史上初めて人工的に窒素をアンモニアへと変換した反応。鉄を触媒とする。1918年ノーベル化学賞。
チーグラー・ナッタ触媒 - ポリエチレンなど、優れた特性を持つ高分子の生産を可能とした。チタン錯体を触媒とする。1963年ノーベル化学賞。
メタセシス反応 - 有機合成で極めて多用される、2つのオレフィンをつなげるための反応。ルテニウム錯体が触媒。2005年ノーベル化学賞。
パラジウムカップリング反応 - 炭素炭素結合を作るうえで欠かせない反応。多くの日本人化学者が関与した。パラジウム錯体が触媒。
不斉反応 - 対掌体の一方のみを選択的に得る。金属錯体を中心に、数々の触媒が開発されている。2001年ノーベル化学賞。
燃料電池 - 水素やメタノールを燃料として発電する装置。2005年現在では、電極に白金やルテニウムを触媒として使用しないと高い電圧を得ることができない。